斉藤洋 『白狐魔記 戦国の雲』 偕成社

 白駒山の仙人の弟子となり、人に化ける術を身につけた白狐魔丸の物語・第四弾。白狐魔丸は、人の世に入り込みすぎると見たくないものを見るとわかっていながら、人との関わりを完全に絶つことはしないようです。
 憑依する術にも、感覚を操る「感憑依」、体の動きを操る「体憑依」、意識をなくさせ完璧にのりうつる「魂憑依」と種類がある……こういうしっかりした設定があるとわくわくします。
 さらに、すごいと思ったのは、人間に化身している白狐魔丸が、織田信長の屋敷にあがるシーン。

 白狐魔丸は足にわらじをはいていたが、それはあくまで見せかけで、わらじに見えるのは、白狐魔丸の足なのだ。白狐魔丸は人間に化身するとき、衣服やはきものごと人間に化身するから、わらじだけぬぐというわけにいかない。
 しかたなく、白狐魔丸はぬぐしぐさだけをして、わらじを消した。消したというよりは、瞬時に、わらじをはいていない九十九小吉に化身しなおしたといったほうがいい。(P.64)

 この箇所に、細かいなあ行き届いているなあと、妙に感心してしまったのでした。


読了日:2007/03/02 →日記での言及ページ


斉藤洋著作リスト