蒲公英草紙(恩田陸)/集英社

 古くから続く名家・槙村家の体の弱い末娘・聡子の話し相手をすることになった、峰子という女の子が主人公。 槙村家に通うようになった彼女は、聡子の家族や、お屋敷に出入りするさまざまな客人にも関わることになります。 ある日、どこか不思議な客人たち――春田葉太郎とその妻、その夫妻の子どもである紀代子と光比古の姉弟がやって来ます。


 「次々とやってくる新しいものに浮かれている一方で、 葬り去るには懐かしく心地好いものがたくさんあるような気がするのに、否応なしに流されていく(P82)」。 そんな時代の軋みを感じながら、ゆっくりと確実に進んでゆく時間。紡がれたことばのひとつひとつ、 エピソードのひとつひとつが静かに心にしみていきます。悲しいできごとも起こるけれど、 全体を通しての印象は穏やかであたたかい。大好きです。


読了日:2006/01/16 →日記での言及ページ


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