森忠明 『風はおまえをわすれない』 文研出版

 小学六年生の森花行少年の、日常とその中の思考が淡々と描かれます。森くんの、「はじめから生まれてこなければいい」というような後ろ向きな考えが、否定されて変化するような、 決定的なできごとは起こりません。どうしても、「楽しさ」よりもその後の「さびしさ」のことに心を傾けてしまいがちな主人公森くんの方向性は、変わりません。 けれど、あんまり暗い感じはしなくて、からりと乾いている感じのする物語です。
 後ろ向きな森くんを無理に前向きに導いたりしないお話なので、 自分の中の後ろ向きな部分が肯定されるような気持ちになります。


 結こんしても別れてしまうなら、はじめから結こんしなければいいのに。どうせ死んでしまうなら、 はじめから生まれてこなければいい。(P.40)


読了日:2006/11/09 →日記での言及ページ


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