石井睦美 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』 BL出版

 中学生になったばかりの菜穂と、菜穂のママ。 それぞれが、「じぶんを獲得していく」(P.129)物語なのだと思います。


 女の子同士の友情っていいなあ。菜穂が、「やなやつ」と思っていた亜矢と、 掛け値なしに「友達」と呼べる関係になっていく過程がいいのです。 一緒に図書室に通ったり、本をプレゼントされたりというエピソードに、ときめいてしまいました。


 ともすれば暗く、生々しくなってしまいそうな部分(亜矢の抱えている問題とか)もあるのですが…… やわらかい雰囲気は崩れません。必要以上に、生々しくなるところを暴こうとはしていないのでした。 それに、基本的に登場人物みんな、ものわかりがいいのです。これは度が過ぎてしまうと、 「都合がよすぎるんじゃないかなあ」と感じてしまうけれど、この物語はそうはなりません。 読み心地がよくて、安心できます。

 じぶんのじゃない水着に、「かわいい」を言いあいながら、 じぶんの水着をいちばん気に入っている女の子たち。(P.88)


読了日:2006/08/08 →日記での言及ページ


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