光の帝国―常野物語(恩田陸)/集英社文庫

 自分が一人ではないこと。大きな営みの中に生かされていること。 遥かな時間と人々の行為の積み重ねの上に自分が存在していること。自分という存在を無駄に出来ないこと――(P.248)

 膨大な書物を暗記したり、こころの声が聞こえたり。さまざまな、不思議な力を持ちながら、 普通の人々の中にまぎれて暮らす「常野」の人々を描いた連作短編集。 人間の残酷さを描く際にも手抜きはされていないので、 ぞっとしたり泣きたいほど悲しくなったり悔しくなったりするところもあるけれど、全体を通しての印象はとても穏やか。
 淡々とやさしく綴られたことばやエピソードはとても親しみやすさに満ちているけれど、同時に壮大な、 目には見えない大きな流れも感じられます。


読了日:2004/10/31 →日記での言及ページ


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