西の魔女が死んだ(梨木香歩)/新潮文庫

 中学一年生になったばかりの女の子・まいが主人公です。 母親が電話で自分のことを「扱いにくい子」「生きていきにくいタイプの子」 と言っているのを聞いてしまうシーンからして、きゅーんとせつなくなってしまいました。
 しばらくの間西の魔女こと大好きなおばあちゃんのもとで過ごすことになったまいが、日々の生活の中で見たこと、 聞いたこと、味わったこと・・・全身で感じ取ったことが文章から伝わってきて、 まるで自分もその場所にいるように感じられました。
 おばあちゃんの人物像も本当に素敵です。

「(前略)いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。 (中略)まいは、そんな簡単なことっていいますけれど、そういう簡単なことが、 まいにとってはいちばん難しいことではないかしら」(本文P70)

「(前略)自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。 (中略)シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」(本文P162)

 私にもちょっとどころではなく、自分で決めたことをやり遂げる力は欠けていると思います。 けれどこの物語は、その力が欠けていることを非難するわけではなく、少しずつでも頑張ってみようと思わせてくれます。 すがすがしさが押し寄せてくるラストシーンも大好きです。


読了日:2004/01/11


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