薄紅天女(荻原規子)/徳間書店

 勾玉三部作完結編。今回の舞台は長岡京の時代です。 このシリーズは一作ごとに独立していて、どれから読んでも楽しめるのですが、 私はやっぱり順番に読んでいって正解だったなと思います。ここってこんなつながりがあるんだよねえと、 にやつくことができますから(・・・ちょっと怪しい)。
 男の子同士の友情に弱い私のツボをこの作品はすばっと突いてきました。藤太、阿高、広梨、茂里・・・ 彼らの絆の強さとお互いを思いやるやさしさが心を揺さぶります。
 後半で登場するヒロインの苑上は、内親王という高貴な身分にもかかわらず「誰にも必要とされていない」 という思いを抱え、たったひとりの弟を邪険にした自分に「やさしさがない」とため息をついたりと、 感情移入できる部分がたくさんありました。
 そしてやっぱり荻原さんの文章は、見たことのないはずの情景でも、くっきりとイメージすることができるのです。



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